工場からお客様へ ― 代表からの手紙 ―
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ジーンズとともに生きてきた工房からあなたへ。

こんにちは。
岡山でジーンズを作り続けて60年以上。
「KAKEYA-JEANS」を運営するジーンズ工房、笠岡縫製の代表・掛谷です。
今日は少しだけ、私たちのこと、そしてジーンズへの想いをお話しさせてください。
デニムの匂いの中で育った少年時代
私の原点は、工房です。
創業者である父が立ち上げたこの縫製工房。
1960年代、まだ国産デニムもほとんど無く、
アメリカから輸入した生地を縫っていた時代です。
「ジーパン」と呼ばれていたあの頃。
染料の匂いに包まれた工房。
私の遊び場は、デニムの原反置き場。
危ないからと母に叱られ、ミシンの脚に紐で繋がれていたそうです。
ジーンズは、気づけば“日常の一部”でした。

― 「作れば売れる」時代の終わり ―
高度経済成長期。
テレビ、雑誌の影響もあり、ジーンズは飛ぶように売れた時代がありました。
脚が通せれば(穿ければ)OK。
アッという間に広がりました。
やがて時代の流れは
”ブランド志向の強まり”から”バブルの波”が押し寄せ、
経済の浮沈を繰り返していきます。
結果、海外生産への移行が加速し、
国内の縫製業は急激に縮小していきました。
2025年、衣料品の国内生産比率はわずか1.4%。
四半世紀で生産量は9分の1に減少。
それでも受注は安定しない。縫製工房の減少は止まらない。
縫製業は「オワコン業」とまで・・。

― 生き残るために―
正直に言えば、
「もう無理かもしれない」
そう思ったことは一度や二度ではありません。
それでも、工房の ”居場所(存在意義)”はあるのだろうか?
何度も問い直しました。
自分たちに何ができるのか?
この小さな工房の存在価値は何処にあるのか?
60年以上、数えきれないブランドのOEMを手がけてきた経験。
積み重ねてきた縫製技術。
ジーンズを知り尽くした職人の感覚。肌で感じて培ったもの。
これを、ただ消してしまっていいのか?
答えは「NO」。
では どうすれば。

― ジーンズ 作り手目線からの転換 ―
ジーンズは不思議な服です。
普通のボトムスは、着込むほど劣化していきます。
でもジーンズは違う。
穿き込むほどに色落ちが生まれ、
擦れ(アタリ)が刻まれ、
その人だけの一本に育っていく。
最初は硬くてごわつく。
けれど、伸び縮みを繰り返しながら体に馴染み、
やがて“相棒”のような存在になる。
そこに現れる経年変化は、
その人の人生そのもの。
これこそがジーンズの醍醐味。
この醍醐味を味わうのは、穿かれる方のみに与えられた特権。
培われた経験を元に特権をアソートすることが出来れば、
穿く人の目線で、納得した一本に仕上げることが出来る。
そこに工房としての存在意義が見出せる。

― なぜこの価格で提供できるのか ―
よく聞かれます。
「どうしてこのクオリティで、この価格なんですか?」
ありがたいことに、よくいただくご質問です。
実は私たちは、これまで国内外の有名ブランドのOEM生産(委託縫製)を
数多く手がけてきました。
店頭価格で言えば、国内ブランドで3〜5万円、
海外ブランドでは5〜10万円以上になる商品たちです。
では、何が違うのでしょうか?
実は――
商品の原価(材料+加工費)には、そこまで大きな差はありません。
※量産の汎用ジーンズは別ですが。
大きく違うのは、そこではないのです。
価格の差を生む“見えないコスト”
価格差の主な要因は、
流通コスト(中間業者が増えるほどマージンが加算されます)
倉庫料
広告宣伝費
そしてブランド価値代
つまり、「作るコスト」よりも「届けるまでのコスト」が価格を押し上げているのです。
― 私たちの強みは“工房直販” ―
私たちは工房から直接、お客様へお届けしています。
だからこそ、
✔ 流通コストはゼロ
✔ 余計なマージンなし
✔ 広告費も最小限
それでいて、生地や付属は有名ブランドと同等、もしくはそれ以上の品質のものを使用しています。
品質は落とさない。
でも価格はできる限り抑える。
これが私たちのスタイルです。
これが、私たちの最大の強みです。
オンリーワンの一本を育てる喜び
私たちが届けたいのは、ただのジーンズではありません。
「育てる楽しみ」
「変化を味わう時間」
「世界に一本だけの表情」
そのお手伝いをしたい。
60年分の経験を、
あなたの一本の中に折り込むことができたなら、
それ以上の喜びはありません。
小さな工房ですが、
岡山の地で、今日もミシンの音は響き続けています。
あなたの人生に寄り添う一本を。
その想いで、私たちは縫い続けています。
